2019年9月16日月曜日

[本当にあった怖い話]夜の海水浴で生首をつかんでしまった恐怖

これは夜の海で体験したIさんの怖い体験である。ある年の7月にIさんは職場の同僚たち6人でS海岸に海水浴に来ていた時の出来事で、旅館に泊まっていたIさんたちは夕食が済んでから海岸に散歩に出かけた。午後7時頃のことで波は穏やかで風が心地良かった。そのうちに夜の海を泳ごうと仲間のうちIさんたち3人が海へ入った。夜の海は薄暗くなりかかり不気味と言えば不気味ではある。

Iさんたちは薄暗くなりつつある夜の海を沖まで泳ぐわけではなく、すぐ足の届く場所で騒いでいた。そのうちにIさんは波間に浮かぶ何かを発見した。よく見ると「首」だ。一瞬ギャっ!と思ったが、まさか本物の生首とは思わず、マネキンかなにかの人形の首だと思った。軽くプカプカ浮いている作り物のように見えたからだ。Iさんはこれをすくい上げて一緒に泳いでいる友人たちを驚かせてやろうかと考えた。

友人たちに投げつけようとして首を手に取ったIさんは声が出なかった。首の髪の毛を持って放り投げようとした瞬間に首の顔がしっかり見えたのだ。思わず「アッー!生首だ!」と叫び、握った髪の毛を離そうとしたが、手が硬直し離せない。友人たちは「どうした?なにか面白いものでもみつけたか?」と笑っているがIさんは恐怖で声が出ない。

指先まで硬直し生首を離せないIさんは、なんとか手放そうと腕を振り回したところ首は友人たちの方に飛んだが、握った髪の毛だけは手に残ってしまった。髪の毛が抜けた部分は皮膚が破けて骨が見えている。よく見ると皮膚はブヨブヨで膨れ上がっている。


驚いた友人たちも声を上げ岸に戻ろうとするが、Iさんだけは半分腰が抜けているのか、なかなか岸に戻れない。あの生首もIさんの後ろから一緒に岸に流れてきているようで、まるで追いかけて来ているのかとすら思うほどだ。

手足をなんとかバタつかせ、必死の形相で岸にたどり着いたIさんは海を見渡したが生首は見当たらなくなった。どこに流れたのかわからない。すぐに旅館に戻り警察に連絡してもらった。それから間もなく警察官が到着し事情を説明した。サーチライトが海に向けられ生首を探したがやはり発見されなかった。

生首が発見させないと、どういう人物なのか男女どちらなのかわからない。だがIさんの手には離すことができない人間の髪の毛がしっかりと握られている。これは生首があったという証拠ではある。地元の病院で注射をしてもらい手が開くようになったので髪の毛は警察が鑑定のため持ち帰り調べることになった。

旅館に帰って落ち着いた頃に旅館の女将から聞いたところによると、このS海岸では最近、海水浴中に浮かんでいる生首らしいものを見かけて驚いたという話が数件あったという。だが誰にも回収されることなく流れていったので一体何なのかは不明だったとのこと。

もしや、その生首をIさんは手に取ってしてしまったのかもしれない。生首は誰かに見つけてもらって岸に運んでもらおうと、いまも波間を漂っているのだろうか。仕方がないとはいえ放り投げてしまったIさんは帰ったら、お祓いを受けることにしたという。

旅館の帰り道は海岸線を走り抜けるコースだが、数キロほど走ったところで警察車両が来ていて物々しい様子が見てとれた。みんなで車を降りて地元の人らしき人に聞いてみたところ、腐乱が進んだ男女不明の首の無い胴体が岸に打ち上げられていたため騒ぎになっているという。

誰もが、あの生首の胴体なんだろうと直感したが、誰もその事は口にせず静かに立ち去ることにした。Iさんは、手から離れなかった髪の毛の感触が消えないという。生首も早く発見されて成仏して欲しいと思いながら車を走らせた。(おわり)

※お読みいただきありがとうございました。


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